入ってきたのはTさんだった。私には後光が差す救いの女神にすら思えた。
「Tさーーーーん!あなたも間違えたのね!大変よ、今日は田端教室なのよーーー!!」
心細くて泣きそうだった私は喜び勇んでどどー――っと駆け寄り、彼女の両肩をガツッと掴んでさっきまでのことを一杯説明して聞いてもらおうとした。
だが、彼女はサッとすばやく身をかわし、やや体をかがめて防御態勢。そして上目遣いで小刻みに震えるような目線で上から下、下から上へとジロジロ私を見ながら
「な、なななな、ナニっ!?」😱
と、ものすごーーーーい、おびえた顔をしていた。しかも小さくハァハァと息をしている。
彼女の様子を見て我に返った。
ああ、無理もない。私たちは今日で出会ってまだ2回目。私のことなんて何も知らない彼女からしたら、そりゃ鬼瓦みたいな顔した女がつかみかかってきたら怖いに決まっている。
冷静にはなったがうまく説明できない。
「先生の部屋番号が!」「集合ポストの名前が!」「旧姓がっ!」「田端教室がぁああああ!!」
文脈も何もなく、興奮しながら意味不明の言葉を羅列する私。
一方彼女は非常に冷静だった。もともと頭が切れる人なので、いちいち一つ一つの話を掘り下げたり繋ぎ合わせて理解しようとせず、直感ですぐ私の言いたいことを理解してくれた。
「よくわかんないけど要するに先生の部屋番号がわからないってこと?」
んだんだんだ!と頷く私。
「ほら、よく見て。先生のお部屋は304号室よ」
彼女が指さした集合ポストの304号室には確かに「〇〇クリスタルヒーリングスクール」と書かれてあった。
センセー!403号室じゃないじゃない!勘違いも大概にしてよねっ!!それにどこにも『田端』なんて書いてませんけどぉ~~??旧姓が書かれてるかもですってぇ?はぁあああ!?😠
いやいや、抑々お前が忘れるからこんな騒ぎに…😗
「さっきから集合ポストの前で携帯片手にぎゃあぎゃあ騒いでて、なんで入らないのかと思っていたら…」
とTさんは呆れたようにクスっと笑った。
そしてTさんは304のインターホンを押すと1オクターブ高いよそ行きの声で「Tですぅーー♪」と呼びかけた。
これもまた落ち着きを取り戻したC先生の「はぁーーい♪」という応答が聞こえ、エレベーターホールへの自動ドアがウィーーーンと開いた。
「さあ、行くわよ」と毅然とした態度で堂々と歩く彼女の後姿。
私より背が低くてスリムな彼女なのだが、このときほど彼女の華奢な背中が頼もしく映ったことはなかった。
ああ、姐さん!ついていきます、どこまでも。
この頼もしい背中に“おんぶお化け”のようにしがみつきてぇーーーー!(*´Д`)ハァハァ
(子泣きジジイかよ、お前は)
と、背後からしがみつきたい衝動を何とか抑えながらトトトト…とカルガモの子供のように素直に彼女の後ろにくっついてエレベーターに乗った。(因みに彼女は私より10歳も若い)
※おんぶお化けとは… 1970年代の幼児向けアニメの主人公。おんぶが大好きなかわいらしい妖怪。顔は「サザエさん」のカツオ君とタラちゃんを足して2で割ったような感じ。
![]() |
おんぶお化け |
さて、3Fについてエレベーターを降りると…
数メートル離れた前方の部屋の玄関ドアが大きくばーーんと開いていた。C先生が片手でドアを開けて身を乗り出してエレベーターホールを睨んでいた。
そして「あ、来た来た!」と手招きをなさった。
ちくしょー、言ってやる、先生にはっきり文句言ってやる!😡
そんな気持ちでずんずん歩を進め、私たちは部屋の前まで来た。
機先を制したのは先生だった。
私が口を開くより先に先生は勝ち誇ったような表情でこう宣ったのだ。
「ほらね、だから言ったでしょう、1分で来れるって!!」
・・・ちがうよ、センセー。。。😔
おあとがよろしいようで。(でもほんとの話)
こうしてドジっ子の私と冷静沈着なサイキックTさんとのコンビでクリスタルヒーリングのベーシックコースの授業を受けるに至ったのですが、今思い出してもエキサイティングな出来事がいくつもありました。
あるときは時々教室に現れるヒーリングエンジェルに強い力で指を引っ張られて(当然私には見えない)大騒ぎし。
またあるときは先生の誘導で過去世に退行したTさんがこっちの世界に帰ってこれなくなって先生が大絶叫してパニックになったり。。。(あのときの必死でTさんを呼び戻そうとしていた先生の熱情と覚悟が伝わってきて、いい先生やなーと思った。)
そしてまたある時は私の足の裏にエネルギー的な意味ででっかい杭が垂直に刺さっていることを先生が見抜き、
「誰よ!!こんなひどいことをしたのはっ!これじゃあグラウンディングしたくてもできなかったでしょう?かわいそうに。」
と私の代わりに憤りながら杭を抜いてくださった。
先生によるとどうやら悪意のある宇宙人の仕業らしかった。(ひでぇなおい。)実際、杭が抜かれた瞬間、本当に足の裏にぽっかり穴があいた感覚がした。
超サイキッカーのTさんにもいろいろ驚かされたり感心させられたが、こんな風にたった3人で時にはわぁわぁきゃーきゃー騒ぎながら、楽しくベーシックコースを終えることができた。
私は最初から基礎を学びたかっただけなのでここで終了。Tさんは上級クラスに進み、私は元のフラワーエッセンスの販売の世界に意識のベクトルが戻っていった。
そしてこのスクールで学んだおかげでジェムエッセンスへの苦手意識がすっかりなくなっているのに気づいた。各社ブランドのジェムエッセンスの商品説明文がするする頭の中に入ってきて、「分かる分かる!」と目を輝かせながら商品ページをどんどん作成して増やしていった。
この意識の変容はグラガのおかげですね。
あれから15年以上も経ちました。
先生もTさんもご自身の才能を発揮し、クリスタルやスピリチュアルの世界で輝いて活動しておられます。
今日の私があるのはお二人との出会いとスクールでの学びにあります。私の人生における貴重な邂逅の一つであり、いつまでも色褪せない懐かしい思い出となっています。
一期一会のこの出会いは、今となっては2度と手に入らない宝物。(特に年齢を重ねると猶更実感します)思い起こすたびに、いつも心から感謝の気持ちが沸き起こってきます。
お二人に幸あれ。
ここまでお読みいただき有難うございました。
終わり。
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