寂しげな川にかかる木橋。実際は太鼓橋でした |
さて、バーチャル陰キャ侍さんに指さされた方向へ歩を進めると川が見えてきました。
相変わらず周りの風景はなーーんもない荒涼とした土地です。人っ子一人いやしません。
太鼓橋がかかっていたので渡ろうと近づいたら、向こう岸から芋虫みたいな緑色をした大蛇が出てきて橋をどんどん進んでこっちにきます。
ついに目の前に来て通せんぼ。
見上げるような大蛇です。
するとにわかに空が掻き曇り、真っ暗な空に稲光まで走る始末。
見ると大蛇まで真っ黒に変わっていました。カラス蛇みたいに。
明らかに怒りの表情で吊り上がった目つきで口もクパァアアアア~~!!と裂けんばかり。ものすごい形相で私を威嚇します。
でも不思議と恐怖感はありませんでした。この大蛇は邪悪な存在ではないと何となくわかっていたからでしょう。
私はドラゴンボールの孫悟空みたいに「いや、すげぇな、おめぇ、超こえぇ~ゾ!?」と感心しながらまじまじと見上げていたのですが、どいてくれないことには向こう岸に渡れません。
困ってH先生に助け舟を求めると光を送ってくれました。
あっという間に空は元通りになり、恐怖のカラス蛇は白蛇に変わりました。白蛇の頭の後ろから後光が射しています。
大蛇は私を通してくれました。
どうやらこの橋より先は聖域というか、神域というか、人が立ち入ってはいけない場所なんだと感じました。
三次元的にももちろん存在する土地なんだけど、あの世とこの世がすれすれで重なっていてどっちの世界にも行き来がしやすい特殊な磁場の土地というような気がしたのです。
だからさっきから人っ子一人出会わなかったんだ。この辺一帯は普通の人間は近寄りたくても近寄れない、または近づくことを禁じられているのでしょう。
橋を渡り切ると正面に小さな赤い鳥居が見えます。
四つん這いにならないと通れないくらいの小さい鳥居。
その奥に古びた祠がありました。
私は匍匐前進して鳥居をくぐり、その姿勢で祠の扉を開けました。
中は大人の頭が1個入るくらいの広さでした。
もうこの頃の私は「こんなことして何になるんだ…」と窮屈な姿勢のままイライラが頂点に達しようとしていました。
さっきからお地蔵さんやバーチャル陰キャ侍に「あっち」だ「こっち」だと指さされて歩いてばっかで一向に過去世の自分にたどり着かない。
挙句の果てにこんな古びた祠にアホみたいに頭を突っ込んで何やってんだか。
「なんもないし。」イライラしながら戸惑った次の瞬間!
突然私は広い道場のような場所に居るのに気が付いた。
まるで「となりのトトロ」みたい。サツキがお願いすると茂みがトンネルになってトトロのところに行けたみたいに。
この小さく古い祠が許されたときだけ通れる入り口だったとは。
そこはいかにも剣道か合気道でもやっていそうな板張りの広い道場。
部屋は薄暗く奥に掛け軸がかかった床の間らしきものが見えます。
その床の間の手前に一人の女性がポツンと正座していました。
④へ続く。
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