先生も驚いていました。
私は照れ笑いをしながら
「いやー、昔スクライング(水晶玉を使った透視)をしようと思いましてね。大枚はたいて大きな水晶玉を買ったのはいいんですけど、結局自己流で練習しても何も見えてこなくて。それ以来窓辺のお飾りになっちゃいました。(てへぺろ)
今朝もこの水晶玉が目に入り、これどうしよう、このままでいいのかなって思ってたんです。」
「彼女が持っているのと今あなたが持っているのとは同じ水晶玉かどうか訊いてみて」と先生。
彼女に尋ねると黙って首を横に振ります。
その後のテレパシーの会話で分かったことは・・・
彼女の持っている水晶玉と私の持っている水晶玉は陰と陽をなす双子のような存在でした。
ところが何かのきっかけで片方の水晶玉が失われ、均衡がとれなくなりました。
彼女の持っている水晶玉はとても力が強い反面、抑制が効かなくて容易に闇落ちしやすい諸刃の剣のような存在になってしまったのです。
だから清らかな巫女の力と魂を持つ彼女が、命懸けで肌身離さず身に着けて守り、闇落ちしないように、そして敵の手に渡らないように終生を捧げていたのです。
(まるで「犬夜叉」の四魂の玉みたいですね)
それでは私が持っている水晶玉はどうしたらいいのかと彼女に尋ねると
「返して欲しい」と言われました。
私「どうやって?」
彼女「川に流せばいい」
そこまで聞いて先生が「どこかに川があればいいんだけど」とおっしゃるので、
少しニヤニヤしながら私が
「いや、実は私、多摩川の河川敷のすぐ近くに住んでるんです。
明日ちょっくら多摩川に流してきますよ」
「”多摩”川なだけにーーー!(これが言いたかった)」
先生は「正直言ってあっさり水晶玉を手放すことに同意なさったのでびっくりしました」とおっしゃってました。
そりゃ大枚はたいた水晶玉ですけど、このままホコリをかぶって窓の飾りで終わったらかわいそうだし、最初からなかったようなものですから。だったら喜んで彼女にお返ししますよ。
こうして彼女に水晶玉を返すと約束し、私の意識はこちら側に戻りました。結局最後まで水晶玉がなんだったのか、どんな秘密を彼女が守っていたのか教えてくれませんでした。
「それを言ってしまうと私の存在意義がなくなる」と。(先生が「カッコいいセリフ」だとほめていらっしゃいました)
「結局なんだったんでしょうね、あの水晶玉」と冴えない表情の私に先生はクスッと笑いながら
「決まってるじゃないですか、michikoさんがやっていたスクライングを彼女はしてたんですよ!」
あ、そういうことか!!
恐らく彼女は国の命運を左右するような重大なご託宣を水晶玉を通して受け取っていたのでしょう。
国家機密レベルの。
腑に落ちたと同時にちょっと少し寂しい気持ちになりました。
現世の私はスクライングをしようとしてもできない、能力がない、スクライングだけじゃない、今までいろいろなスピリチュアルな能力を磨こうとしたけど、全部中途半端に終わってしまう。
それを愚痴ったらすかさず先生に
「だって辛かったのよ」と慰められました。
そうなんです、以前別の過去世をあるセラピストさんに教えてもらったことがありますが、東北で巫女のようなことをやっていた私は、飢饉や干ばつなどのお告げを地元の村人に告げるのが辛くてしょうがなかったそうです。見たくもない未来が視えて、それを告げることが本当に辛かったそうです。
そんな過去世がたくさんあるのでしょう。だから今世ではあまりスピリチュアル的な能力が磨かれない(というか自ら閉ざしていたのかな?)のです。
さて、翌朝早朝。私はいつもより早起きして水晶玉を持って多摩川の上にかかる橋まで来ました。
めずらしく深い霧が立ち込めていて幻想的な雰囲気があたりに漂っていました。空気もしっとりと濡れていました。まるでこの世ではないような・・・
(数時間後にはカラッと晴れた青空が広がるいつもの多摩川でした)
橋の真ん中までくると、欄干の上に水晶玉をそっと乗せました。今までのお礼を述べ、「さあ、彼女の元へお行き。」とトンっと指先で押すと
水晶玉は静かに落下し、音もなく水中に消えていきました。
水はあの世とこの世を結ぶ中間的な存在の物質です。多摩川の底に沈んだ水晶玉のエネルギーは水を媒介して400年前の彼女の元に戻ったことでしょう。
あれからの私は、外へ出るといつも「この世界はもう、安心なんだ。」という想いが浮かんでくるようになりました。過去世の彼女も今頃、少しは緊張がゆるんで柔らかに微笑んだりしているのかもしれません。2つ並んだ水晶玉を眺めながら。
最後までお読みいただき、有難うございました。
終わり。
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