あるときオンラインショップ運営講座を受講しに行きました。
既にショップ運営をしている人が対象の勉強会です。
講座の途中、希望者は自分のショップをプロジェクターで映し出してみんなに見てもらいながら、講師の先生のご意見やアドバイスを伺うことができます。
当時のうちのショップはオープンしたばかり。現在の店構えとは全然違った雰囲気でした。
しかもショップ作成のノウハウも素人丸出し(今でもそうですが)のため、出来が悪いのはもちろんのこと、だからこそ勉強のためだとちょっと恥ずかしかったけど、申し込んでみました。
大きなプロジェクターにうちのショップのトップページが映し出されると緊張しましたね。
先生はフラワーエッセンスが何なのか、よくわからないご様子で、ちょっとコメントしづらかったようです。当たり障りのないアドバイスをいくつかしていただき、すぐ別のショップに移りました。
いくつか別のショップが映し出され、やがてどこかで見覚えのあるショップが出てきました。
あ、思い出した、あの英会話教材のお店!
いやー、店長さんいらっしゃってたんだー…
席が遠くに離れていたので店長さんのお顔とか全然見えませんでしたけども。
先生は延々とトップページを下のほうまでスクロールしてましたが、最後まで到達できなくてそこで手を止め、次のようにアドバイスをなさっていました。
・説明文をもっと簡潔にしたほうがいいこと
・購入ボタンを複数つけたほうがいいこと
・ユーザーレビューも「続きはこちら」と別ページを用意してリンクを貼るといいこと
などなど。私が感じたのとまったく同じことをおっしゃってました。
これに対し店長さんは一歩も引かない構え。どんなアドバイスに対しても動じず「いや、でも、だって」と持論を述べて否定しておられました。
何度も「この商材またはショップには絶対の自信があるんだ」みたいなことをおっしゃっていたように思います。
周囲も店長さんの頑なな態度に呆れてざわめきが広がりました。先生も戸惑っているようでした。
ところで。
先生はスクロールしきれなかったので、最後の購入ボタンがプレゼントや値引きで3択になっていることをご存じないのですが、仮にご覧になったとしても、これに関してはサービスやプレゼントはあって当たり前、顧客の購買意欲を高めるから、むしろ「ここだけはいいですね♪」なんて褒めるかもしれないなーと思いました。
でもね・・・
実際に購入するつもりで必死で説明文に目を通して青息吐息で最後まで到達した人間は、もう思考回路がショートしてて、あの複雑な選択肢から選ぶなんて無理なんです。
講師の先生はそこまで本気で読み込まないだろうから、仮に最後までたどり着いたとしてもそういう人間の気持ちにまでは気が付かないんじゃないかなーと思いました。(いや、専門家だから簡単に分かったかも!?)
件の店長さんが先生に何を言われても引かなかった気持ち、同じショップ運営者として実はちょっぴりわかるような気もします。
多分この店長さん
「英会話教材に興味もない状態でザっと簡単に流し読みしただけで、あんたに一体何が分かるんだ!」というお気持ちがあるのではないでしょうか。
うちもフラワーエッセンスという特殊な商材を扱っていますので、それがどういうものなのかよく分かっていらっしゃらない先生のアドバイスをいただき、違和感を覚えることがたびたびあります。
そのたびに
「違うんだよ、そうじゃないんだよ、この商品(又は業界)は。」
「売り上げが伸びる前にこっちがノビちゃうよ~~~😔」
なんて心の中でつぶやくのです。
この店長さんは通りすがりの通行人のような講師の先生の言うことよりも、本気で買おうとしてカゴ落ちした人間の声なら真剣に耳を傾けるのかなって思ったのです。
※「カゴ落ち」とはカートに商品を入れておきながら途中で購入を中止したことを言います。私の場合は正確にはカゴ落ちとは言いませんが、気持ちの上ではもうカゴに入れたようなものだったので、この言葉を使いました。
さて、2人の会話が平行線のままで一向に話が先に進まないので、私はむずむずしてきました。
「あのーーー…」
私はおずおずと手を挙げて話を遮りました。
マイクが回ってきたので手に取り
「実は以前、私は実際にこちらのショップで商品を購入しようとしたことがあります。
200%本気で買う気満々でした。
そしてこの長い長いwebサイトの最後までようやくたどり着いたとき、購入ボタンを見てがっかりしたんです。
そして苦笑しながらwebサイトを閉じました。
なんでだと思います?
実際にカゴ落ちしたユーザーの気持ちや理由など、店長さん、知りたいと思いませんか?
皆さんにも参考になるかもしれません。」
と発言しました。
ざわつく会場。みんなの視線が一気に私に集中したのが分かりました。
先生が店長さんに「どうします?聞いてみますか?」と問いかけています。
果たして店長さんは・・・
・・・と、ここまでが私の妄想でした。てへぺろ。😋(文字背景が水色部分が妄想です)
もし本当に上記のような発言を私がしたら、店長さんは素直に聞いてくださるでしょうか?
もちろんディスるのが目的ではありません。
だって惜しいんですもの、このショップ。ここまで人を引き付けるお店ってないですよ。いくつか改善するだけで”振り切ったショップ”とか”名物店長のお店”でコアなファンをつかんでもっと売り上げが伸びると思います。
ここで出会ったのも何かのご縁だしね。
かといって・・・
一歩間違うと、この誇り高き店長さんのお鼻を再起不能なまでに粉砕骨折させてしまうかもしれない。
それを言うのは本当に私の役割なんだろうか?もっとふさわしい人がいるのではないか?
この方がこれがきっかけでトラウマになったり自暴自棄になったらどうする?自信過剰な人ほど落ち込んだときの振り幅は大きい。
いやいや、それどころか、
「だからそれが何?カゴ落ちしたのはそっちのせいでしょ?俺はこのやり方を絶対に変えない!」
なんて言われでもしたら、今度は私のほうが赤っ恥かいて心が折れちゃいます。
と、あれやこれやとシミュレーションして逡巡した末、結局小心者の私は何も発言することなくその日は終わりました。
あれからあのショップがどうなったのか、それは分かりません。
この15年ほどの間にオンラインショップ運営に関する変遷は目を見張るものがあります。
おしゃれで充実した機能を搭載したECサイト(オンラインショップ)が簡単に作れる便利な世の中になり、素敵なショップが飛躍的に増えてひしめき合って、それはまさにレッドオーシャン状態です。
もう、うちのショップなんか古臭いほうですよね。店構えを見ておわかりのように。
時流に乗り切れておらず、儲かってもおりません。だから偉そうに言える立場じゃありません。
そんな自分が言うので説得力はありませんが、昔はみっともなくてもダサくても、個性が前面に出たユニークなショップ、店長の拘りが強いショップが一杯あったなーなんて思うのです。
うちももう今更儲かるショップや時流に乗った華々しいショップにはなれないでしょうけど、だったらせめてお客様の記憶にしっかりと残るような個性的なショップであり続けたいと思っております。
ええ、レッドオーシャンでアップアップひしめき合ってるんじゃなく、砂漠の中のオアシスみたいにね。(それをブルーオーシャンと言うのでしょうけど)
あのときの店長さん、今でもブレずに拘り抜いたまま―というのはさすがに難しいでしょうけど、少しずつ方針を変えながらしぶとく生き残っていてくれたら面白いのにと思ってます。
最初は結構ディスった書き方になりましたが、ここまで関心を寄せるくらいだから、結局嫌いじゃないんですよ、ああいうショップが。(笑)
とりとめもない思い出話(&妄想)にお付き合いいただき有難うございました。
(大したオチじゃなくてすみません。)
終わり。
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